カテゴリー別アーカイブ: スタッフこぼれ話

「世界の船旅」スタッフこぼれ話 - 2018年4月号

雑誌「クルーズ」に好評連載中の「世界の船旅」CRUISE誌上放映。

2019年2月27日発売の2019年94月号に掲載された内容をご紹介します。

第318話 ロイヤル・クリッパー
世界最大の帆船で行く 南イタリア紀行

船名:ロイヤル・クリッパー (スター・クリッパーズ) 総トン数:4,425トン

船名:ロイヤル・クリッパー
(スター・クリッパーズ)
総トン数:4,425トン

絵画のように美しい港町アマルフィやヨーロッパ最大の活火山エトナ山の巨大なクレーターなど、冒険心を刺激する南イタリアの絶景を、大航海時代のイメージそのままに、青い空に白い帆を張って進む世界最大の帆船でめぐります。

「ネットがブーム?」

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帆船の旅は実に絵になります。マストに登って360度の大パ ノラマを満喫するマストクライミング。クルーと乗客が力を合わせるセイルアップ。重厚でクラシックな設備。朝焼け夕焼けに染まるデッキ。どこを撮っても美しく、カメラマン魂を刺激します。 そうなると、つい欲が出て「この場面には人がいると絵が決まるな」とモデルが欲しくなってきます。特に船首に張られているネットでそう感じました。船首の帆を張るときのセーフティーネットとして設けられているもので、帆船を象徴する場所の一つです。これは見ているだけで楽しくなる良い映像が撮影できるに違いないと、期待に胸が躍りました。
ところが、そういう時に限ってモデルになってくれそうな人が現れません。待つこと 30 分。 ようやく一人の乗客が通りかかりました。突然のお願いに少し戸惑った様子でしたが「良いですよ」と快諾していただき、ネットの上でゴロンと横になってくれたのです。予想どおり、さっそうと大海原を進む帆船の船首でのんびりと風を受けて心癒やされる時間を過ごしている、という良い映像が撮れました。 するとそれがきっかけになったのか、次々に乗客たちがネットに乗り始め、ちょっとしたブームになったのです。船のスタッフからも「帆船の魅力を乗客に味わってもらえてよかった。君のおかげだよ」と感謝の言葉をかけられたのでした。

第330話 飛鳥Ⅱ

ナショナル・ジオグラフィック・オリオン

飛鳥Ⅱ(郵船クルーズ) 総トン数:5万142トン

世界三大運河の一つスエズ運河やマルタ共和国・バレッタなど世界遺産を訪ねながら、鏡開きやマグロの解体ショーな ど日本客船ならではの魅力を堪能できます。102日間の世界一周クルーズから風光明媚な地中海の旅をお届けします。

「ねぎらいの限界」

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世界一周クルーズは、船上から見る絶景、毎日のように行われるイベント、寄港地ツアー、 スタッフへのインタビューなど、 連日撮影に追われる日が 3カ月以上続きます。いかに居心地の良い船の上とはいえ、働きづめのカメラマンには、少しずつ疲労がたまっていきます。 そこでロケ中に、ねぎらいの意味でおいしい食事をとってもらったり、撮影を忘れてのんび りとクルーズライフを楽しむだけの日を設定します。結果としてそれが心身のリフレッシュにつながり、船旅の新しい魅力を見つけることができるのです。 今回も世界一周の半ばで、ねぎらいの時間を設定しました。 お疲れ気味のカメラマンを人気 のレストラン「海彦」に連れて行ったのです。板前さんが握る本物の寿司に、カメラマンはやや興奮気味。それがちょっと心配だったのですが、案の定不安は的中しました。 カウンターに座った途端、カ メラマンが「アワビ 10 貫!」と 高いネタを大量に注文。あわてて財布の中身を確かめていると、 板前さんが「すみません。今日アワビが人気で売り切れてしまって」と申し訳なさそうに謝ってきました。がっかりするカメラマンを尻目に「大丈夫ですよ 〜」と心からの笑顔で返し、ホッと胸をなで下ろしたのでした。 翌日、すっかり復活し元気たっぷりに「頑張ります」と言うカメラマンの瞳には、次回への期待がしっかりと浮かんでいるように見えました。